この記事では、配偶者ビザでお金についてどこを見られているのかを整理します。あわせて、多くの方がつまずく課税証明書の落とし穴もお伝えします。
【まずイメージから】
見られているのは、年収の額そのものではありません。
その世帯で、生活が成り立つかどうかです。
第1 「300万円」は、配偶者ビザの数字ではありません
1 あの数字は、どこから来たのか
「年収300万円」は、主に永住許可や就労系の在留資格をめぐって語られてきた目安です。とくに永住では、就労資格から申請する場合に年収がおおむね300万円に届いていないと厳しい、という実務上の感覚がありました。
それが検索を通じて広まるうちに、在留資格の区別が落ちて「外国人の配偶者を呼ぶには300万円」という形で流通しています。ちなみに永住のほうは、2026年8月に公表されたガイドラインの改定案で、この目安自体が大きく変わろうとしています(永住許可のシリーズ1/3で扱っています)。
2 配偶者ビザに、決まった金額はありません
では、配偶者ビザではいくらなのか。法令にも、公表されたガイドラインにも、金額は書かれていません。「いくら以上なら許可」という線は、そもそも引かれていないのです。
そのかわり、判断のしかたには一貫した考え方があります。その世帯の人数に見合った収入があるか、という見方です。
夫婦2人だけの世帯と、お子さんがいる世帯と、海外のご家族を扶養している世帯とでは、必要な額はおのずと変わります。支える人が増えれば、求められる額も上がる——ここが出発点です。
ですから、「いくらあれば通りますか」という問いに、金額でお答えすることはできません。ご家族の人数と、次に見る暮らしの実際とをあわせて、はじめて見通しが立ちます。
3 額よりも、成り立つかどうか
もうひとつ大切なのが、支出との関係です。
月に12万円の収入で、家賃が8万円。これでは二人の生活は厳しい、と見られます。ところが同じ月12万円でも、持ち家で家賃がかからないのなら、話はまったく変わります。年金で暮らしている方でも、住まいの負担がなければ生活は成り立ちます。
質問書に家賃と間取りを書く欄があるのは、このためです。入管は、収入の額と暮らしの実際を、セットで見ています。
なお、裁判例も、経済的な基盤を不可欠の要件とはしていません。無職であることや生活保護を受けていることを、消極的な事情のひとつとして位置づけているにとどまります。お金だけで結論が決まるわけではない、ということです。
第2 課税証明書という落とし穴
収入の確認に使われるのが、市区町村が出す住民税の課税証明書です。ここで多くの方がつまずきます。理由は単純で、証明される所得が、いまの収入ではないからです。
1 課税証明書は「いつの収入」か
住民税の課税証明書は、その年度の前年1月から12月までの所得を証明する書類です。
| 取る証明書 | 証明される期間 |
|---|---|
| 令和7年度の課税証明書 | 令和6年1月〜12月の所得 |
| 令和8年度の課税証明書 | 令和7年1月〜12月の所得 |
そして、最新年度分が発行されるのは、例年5月から6月ごろです(時期は市区町村によって異なります)。
2 申請する月で、取れる年度が変わります
たとえば3月に申請する場合を考えます。
【例】去年しっかり働いたのに、証明できない
去年1年間、まじめに働いて430万円の収入がありました。
ところが3月の時点では、去年の所得を反映した課税証明書はまだ発行されていません。
取れるのは一昨年分だけ。その年は事情があって働いていた期間が短く、113万円——。
課税証明書だけを出すと、入管には「年収113万円の人」として届きます。
去年から働き始めた方、転職して収入が上がった方、産休や療養から復帰した方——直近1年で状況が良くなった方ほど、この落とし穴にはまります。
こういうときは、課税証明書以外の資料で現在の収入を示していくことになります。何をどう組み合わせるかは事案によりますが、「課税証明書に書いてある額が、いまの自分の年収ではない」と気づいているかどうかで、結果が変わります。
もうひとつ。課税証明書はその年の1月1日に住んでいた市区町村で取ります。引っ越したばかりの方は、いまの役所では出ませんのでご注意ください。
3 納税証明書——未納は、必ず先に
課税証明書とセットで出すのが納税証明書です。こちらは「決まった住民税を、きちんと納めているか」を示します。
注意していただきたいのは、納期が来ているのに未納が残っている状態で提出しないことです。税金を納めていないという事実が、そのまま伝わってしまいます。
未納があるなら、納めてから、取り直す。順番はそれだけです。会社員で給与から天引きされている方は問題になりにくいのですが、転職の合間に空白があった方、個人事業主の方は、ご自身では気づいていない未納が見つかることがあります。申請を思い立ったら、まず確認してください。
「うちの収入で、通るでしょうか」
金額だけでは判断できません。住まい、家族の人数、これまでの記録をうかがったうえで、見通しをお伝えします。初回相談は無料です。
第3 個人事業主・自営業の方へ
面談で「年収はいくらですか」とうかがうと、売上の額をお答えになる方がいます。お気持ちは分かるのですが、審査で見られるのは売上から経費を引いたあとの所得です。
売上が400万円あっても、経費を引いて所得がゼロなら、課税証明書には所得ゼロと出ます。ご本人の感覚と、書類の見え方が大きくずれる——ここが自営業の方の難しさです。
なお、税の申告そのものについては税理士の領分になります。当事務所からは、在留資格の審査でどう見えるかという観点でお伝えします。
第4 足りないと感じたときに
収入が心もとない場合でも、道が閉ざされているわけではありません。世帯としての資産、住まいの状況、これからの収入の見込み、そして身元保証人——見てもらえる材料はいくつもあります。
ただし、どれを、どの順番で、どこまで整えてから出すかは、ご家庭の事情によってまったく違います。ここは記事で一般化できる部分ではありませんので、個別にご相談ください。
ひとつだけ、よくある誤解をお伝えしておきます。海外から呼び寄せる場合に、「来日したら本人が働くので大丈夫です」という説明は、それだけでは根拠になりません。まだ日本での仕事が決まっていない段階だからです。まずは日本にいる側で土台を整える、という順番になります。
まとめ
- 「年収300万円」は配偶者ビザの数字ではありません。永住や就労の文脈で語られてきた目安です
- 配偶者ビザに決まった金額はありません。支える人が増えれば、求められる額も上がります
- 見られているのは額ではなく、その世帯で生活が成り立つか。家賃の有無で結論が変わります
- 課税証明書が証明するのは前年1〜12月の所得。最新年度分が出るのは5〜6月ごろです
- 春に申請する方は要注意。去年の収入がまだ証明できません
- 納税証明書に未納が残ったまま出さない。納めてから取り直します
お金の要件は、数字だけを見て一人で悩んでしまいやすいところです。けれども実際には、住まい、家族の人数、記録の残り方で結論が動きます。「300万円ないから無理だ」と申請そのものを諦めてしまう前に、一度ご相談ください。
当事務所は許可保障制度を設けています。お引き受けする以上は許可までお持ちする、という考え方ですので、出す前の見極めを大切にしています。手続きの流れとご費用は、国際結婚・配偶者ビザのページをご覧ください。
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- 配偶者ビザの「質問書」の書き方
家賃や間取りを書く欄があるのはなぜか。入管の様式に沿って、つまずきやすい欄を整理しています。
※公開後にURLを差し替えてください - 在留期間はいつから申請できる?
いま別の在留資格をお持ちの方は、期限を切らさないことが先です。 - 在留資格とは何か?
「ビザ」と在留資格の違いから。制度の土台を知りたい方へ。
※ 本記事は一般的な情報をまとめたものです。記載した金額はいずれも一応の目安であり、許可を保証するものではありません。取扱いは個々の状況や時期、各入管の運用により異なります。税の申告そのものについては税理士にご相談ください。実際のお手続きの際は、申請先の入管または当事務所へご確認ください。
やさしい にほんご
これは やさしい 日本語(にほんご) の ページです。
上(うえ)の 文章(ぶんしょう)と 同(おな)じ 内容(ないよう)を、かんたんな 言葉(ことば)で 書(か)いて います。
日本人(にほんじん)と 結婚(けっこん)した 人(ひと)の ビザ。
お金(かね)は いくら 必要(ひつよう)ですか。その 話(はなし)です。
「300万円(さんびゃくまんえん)」は、ちがう 話です
インターネットに「300万円 いります」と 書いて あります。
でも これは 永住(えいじゅう)や 仕事(しごと)の ビザの 話です。
結婚の ビザの 数字(すうじ)では ありません。
決(き)まった 金額(きんがく)は ありません。
法律(ほうりつ)にも、入管(にゅうかん)の ルールにも、金額は 書(か)いて いません。
大切(たいせつ)なのは、家族(かぞく)の 人数(にんずう)に あう お金が ある かです。
お金を あげる 家族が 多(おお)い ときは、もっと お金が いります。
大切(たいせつ)なのは「生活(せいかつ)できるか」
入管(にゅうかん)が 見(み)るのは、お金の 数字だけでは ありません。
2人で 生活が できるかを 見ます。
たとえば、1か月に 12万円 もらう 人。
家賃(やちん)が 8万円 → むずかしいです。
自分(じぶん)の 家(いえ)で、家賃が ない → だいじょうぶな ことが あります。
家族(かぞく)が 多(おお)い ときは、もっと お金が いります。
気(き)を つけて:課税証明書(かぜい しょうめいしょ)
お金の 証明(しょうめい)は、市役所(しやくしょ)・区役所(くやくしょ)の 課税証明書で します。
これは 去年(きょねん)の 1月〜12月の お金の 紙(かみ)です。
今(いま)の お金では ありません。
3月(さんがつ)に 申請(しんせい)する 人は、気を つけて
新(あたら)しい 紙が できるのは、5月か 6月ごろです。
だから 3月は、去年の お金の 紙が まだ ありません。
おととしの 紙しか ありません。
去年 たくさん 働(はたら)いた 人も、
おととし 少なかったら、「お金が 少ない 人」に 見えて しまいます。
この ときは、ほかの 紙で 今の お金を 見せます。
どの 紙を 出すかは、人に よって ちがいます。
課税証明書は、1月1日に 住(す)んで いた 市(し)・区(く)で もらいます。
引(ひ)っ越(こ)した 人は、気を つけて ください。
税金(ぜいきん)を 払(はら)って いない とき
納税証明書(のうぜい しょうめいしょ)も 出します。
「税金を ちゃんと 払いました」と いう 紙です。
払って いない お金が ある とき。
先(さき)に 払って、新しい 紙を もらいます。
払わないで 出しては いけません。
自分(じぶん)で 仕事を して いる 人へ
売上(うりあげ)と 所得(しょとく)は ちがいます。
売上 400万円でも、経費(けいひ)を 引(ひ)いて 0円(ぜろえん)なら、紙には 0円と 出ます。
お金が 少ない とき
お金が 少なくても、あきらめないで ください。
貯金(ちょきん)、家、これからの 仕事、身元保証人(みもと ほしょうにん)——見て もらえる ものが あります。
でも、何(なに)を どう 用意(ようい)するかは、人に よって ちがいます。
1人で 悩(なや)まないで、相談(そうだん)して ください。
外国(がいこく)から 来(く)る ときは、気を つけて ください。
「日本に 来てから 働きます」だけでは、理由(りゆう)に なりません。
まず 日本に いる 人の お金を 見せます。
こまった ときは、電話(でんわ)して ください。
045-900-4871
やさしい 日本語で 話(はな)します。
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