短期滞在から在留資格を変更できる?

「短期滞在で来ています。このまま日本にいられませんか」——日本に家族や大切な人がいる方から、よくいただくご相談です。

目次

総論

在留資格の変更は、入管が「変更を適当と認めるに足りる相当の理由がある」と判断したときに許可されます。ただし、条文にはただし書がついています。「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする」(入管法20条3項ただし書)。

とりあえず来てはみたものの、日数が過ぎたら、いったん帰らないといけないのでしょうか。

帰らずに変えられる場合があります。ただし、認められている道は限られています。そして、残っている日数によっては、間に合いません。

【短期滞在から変えられるか】

第1 原則は、いったん出国してから
条文が「やむを得ない特別の事情」を求めているのは、査証と認定証明書の事前審査を素通りさせないためです

第2 それでも認められる場面は、決まっている
身分関係があるとき/滞在中に認定証明書が出たとき/告示に当たらないとき/人道上の事情があるとき

第3 残りの日数が、間に合うかどうかを決める
90日で来た人と、30日・15日で来た人とで、待てるかどうかが変わります

第1 原則は、いったん出国してから

条文をよくみてみると、「やむを得ない事情があれば許可する」ではなくて、「やむを得ない事情がないと許可しない」となっています。「許可しない」が強調されていて、原則的な扱いだと示しているように読めます。
 では、なぜ短期滞在の変更は厳しく扱われているのでしょうか。
 日本で長く暮らすための在留資格は、来日する前に審査を受けるのが本来の順序です。在外公館で査証の発給を受け、あるいは在留資格認定証明書の交付を受けてから入国します。これを、比較的簡単に入れる在留資格である、短期滞在からの変更で長期滞在を認めてしまうと、入国前の厳格な審査が意味を失います。短期滞在が「抜け道」になってしまうからです。
 そうすると、すでに日本にいる方も、長期滞在したければ、本来の流れ通り、一旦出国して、きちんと入国する際の厳格な審査をうけてから、長期滞在する。というのが基本になります。

1 条文が求めているのは「やむを得ない特別の事情」

在留資格の変更の審査は、二つを見ます。申請した在留資格に当てはまる活動や身分があるか(在留資格該当性)。そして、それを認めてよいだけの事情があるか(狭義の相当性)。ほかの在留資格からの変更なら、ここまでです。

2 なぜ厳しいのか——査証と認定証明書を素通りさせないため

短期滞在は、査証が比較的簡単に発給されます。査証免除の国から来る方は、査証そのものが要りません。空港での審査も簡便です。

その状態から在留資格の変更を軽々に認めてしまうと、査証制度と在留資格認定証明書制度が形だけのものになります。長く滞在する予定の外国人には入国の前に厳しく審査する、という制度の組み立てが崩れます。

入管が短期滞在からの変更に慎重なのは、目の前の申請人を疑っているからではありません。制度の入口を守っているからです。

3 オンライン申請は使えない。窓口だけ

入管庁は、在留申請のオンライン手続について、在留資格が「外交」「公用」「短期滞在」の方や在留期間が「3月」以下の方は対象外だと案内しています(出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続」)。中長期在留者でない方も対象外です。

短期滞在は、そのどちらにも当たります。地方出入国在留管理官署の窓口へ、直接行くことになります。混み合う時期は、それだけで数時間かかります。残りの日数が少ない方は、この時間も数えておいてください。

第2 それでも認められる場面は、決まっている

「やむを得ない特別の事情」があると認められるのは、制度の入口を素通りさせることにならない場合です。実務では、認められる場面が、ある程度決まっています。

では、自分は当てはまるのでしょうか。日本との関係は、来る前からありました。入国してから何かが変わったわけではありません。

変わっていなくても構いません。問われているのは事情の変化ではなく、制度の入口を素通りさせることにならないか、です。

1 一定の家族としての結びつきがある場合

日本人と結婚している。日本人の子である——こうした身分関係の成立または存在が理由になる場合、実務では、「日本人の配偶者等」への変更が、在留資格認定証明書を添えなくても認められています。

実務で「身分関係に基づく場合」として挙げられているのは、次の4つです。

  • 婚姻の成立または存在を理由とするとき
  • 日本人か特別永住者の子であるとき、または「永住者」として在留する方の子であるとき
  • 定住者告示に掲げる地位に当たるとき
  • 高度専門職として認定された方の配偶者・子であるとき。その方またはその配偶者の実の親も、7歳未満の実子を養育している場合に限って含まれます

根拠になっているのは、家族が一緒に暮らすという利益です。人道上の利益として、「やむを得ない特別の事情」を基礎づけると考えられています。

来日してから関係が始まった場合は、別の壁があります

短期滞在で日本に来てから相手と知り合い、その滞在期間の中で婚姻届を出して変更を申請する。
この形は、経緯に疑いを持たれます。関係そのものが本当かどうかを問われ、不許可になることがあります。

来る前から関係があり、その延長で日本に来た場合とは、見られ方が違います。
何を見られているのかは、配偶者ビザは何回会えばいい?に書きました。

2 認定証明書が出れば、入口はもう通っている

就労ビザへの変更は、原則として「やむを得ない特別の事情」が認められません。技人国(ぎじんこく)——技術・人文知識・国際業務も、技能も、経営・管理も同じです。いったん出国し、認定証明書を取り、査証の発給を受けて入り直すのが本来の順序です。

ただし、短期滞在で適法に日本にいる間に認定証明書の交付を受け、それを添えて変更を申請した場合は、「やむを得ない特別の事情」があるとして許可されます。

理由は、第1で見たとおりです。認定証明書が出ているということは、入国前と同じ審査をすでに通っているということです。制度の入口を素通りしていません。だから認められます。

3 そもそも認定証明書が取れないなら、短期滞在から変えるほかない

上陸のための条件を定めた条文は、「定住者」について「法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る」、「特定活動」について「法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る」としています(入管法7条1項2号括弧書)。そうすると、あらかじめ告示されていない「定住者」や「特定活動」は、そもそも在留資格認定証明書が受けられないことになります。

ところが、告示に当たらなくても在留を認めるべき場合があります。

この場合は、まず短期滞在で入国し、そこから変更するほかに道がありません。就労できる在留資格で在留する方の配偶者の連れ子で、養子縁組をしていない場合も、同じ考え方です。

4 病気や難民手続きも、それだけで理由になる

ここまでの3つのほかにも、認められている場面があります。いずれも例外的な状況で、数は多くありませんが、当てはまる方には可能性があります。

場面中身
難民認定の手続きが続いている難民認定の申請または審査請求をしていて、まだ処分や裁決がされていないとき。本人に知らされたかどうかは問いません
人道上、真にやむを得ない事由がある入国後の事情の変化が病気などによるもので、変更の理由が本当にやむを得ないと認められるとき
在留期間を過ぎた方の特別受理期間を過ぎてから更新などを申請した方について、特別に受理して「短期滞在」への変更が許可されるとき
そのほか、個別に認めるもの受験のために短期滞在で入国し、在留期限からおおむね1か月以内に授業が始まる留学生など

第3 残りの日数が、間に合うかどうかを決める

短期滞在の在留期間は、「九十日若しくは三十日又は十五日以内の日を単位とする期間」と決まっています(入管法施行規則別表第2)。実際には90日、30日、15日のどれかで決まることがほとんどです。パスポートの上陸許可の印に書かれています。

窓口に出しても、その日に結果は出ません。審査が終わらないうちに期限が来たら、どうなるのでしょうか。

1 90日で来た人と、30日・15日で来た人

在留期間内に変更を申請すると、審査中に期間が過ぎても、結果が出るまでは、そのまま日本にいられます。ただし、長くても従前の在留期間の満了の日から2か月までです。これを特例期間といいます(入管法20条6項)。

この条文には括弧書きがついています。「30日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く」。

上陸許可の印の日数審査が終わらないまま期限が来たら
90日特例期間があります。
30日・15日特例期間がありません。期限が来た時点で、在留資格のない状態になります

2 短期滞在の間は、在留カードも住民票もない

在留カードが交付されるのは中長期在留者です。短期滞在の方は、ここから外れます(入管法19条の3第2号)。住民基本台帳に記録される外国人住民にも当たらないので、住民票もありません。

銀行の口座も、携帯電話の契約も、この状態では進みません。身分を示せるのはパスポートだけです。

変更が許可されて、はじめて在留カードが交付されます。生活の手続きは、そこから始まります。

まとめ

  • 短期滞在からの変更は、「やむを得ない特別の事情」がなければ許可されません(入管法20条3項ただし書)
  • 厳しいのは、査証と認定証明書の事前審査を素通りさせないためです
  • 身分関係が理由なら、認定証明書を添えなくても認められる場合があります。婚姻/日本人・特別永住者・永住者の子/定住者告示の地位/高度専門職の家族、の4つです
  • 「家族滞在」は違います。いったん出国するよう案内されることがあります
  • 就労ビザは原則として認められません。ただし滞在中に認定証明書が出れば、それを添えて変更できます
  • 告示に当たらない「定住者」「特定活動」は、認定証明書が取れないこと自体が理由になります(入管法7条1項2号)
  • 難民認定の手続き中、病気などの人道上の事情でも認められることがあります
  • オンライン申請は使えません。窓口だけです
  • 90日なら審査中も待てます。30日・15日は待てません

短期滞在からの変更は、認められないのが原則です。それでも道が用意されているのは、制度の入口を守ることと、家族が一緒に暮らすことが、どちらも別に大切だからです。

あわせて読みたい

※ 本記事は、出入国管理及び難民認定法の条文、裁判例、および出入国在留管理庁が公表している資料をもとに、一般的な情報としてまとめたものです。短期滞在からの変更が認められるかどうかは、個々の事情によって判断が分かれます。運用も改定されることがありますので、実際のお手続きの際は、申請先の入管または当事務所へご確認ください。


やさしい にほんご

これは やさしい 日本語(にほんご) の ページです。
上(うえ)の 文章(ぶんしょう)と 同(おな)じ 内容(ないよう)を、かんたんな 言葉(ことば)で 書(か)いて います。

この ページは、短期滞在(たんき たいざい)で 日本に いる 人の 話(はなし)です。
日本に 家族や 大切(たいせつ)な 人が いる。
「くにに かえらないで、ビザを かえられますか」という 話です。

きほんは「一度(いちど)くにに かえる」です

法律(ほうりつ)の 文(ぶん)は、
「とくべつな 事情(じじょう)が あれば いい」ではなくて、
「とくべつな 事情が ないと だめ」と 書(か)いて あります。
だめが きほんだ、という いみです。

日本で ながく くらす ビザは、日本に 来る 前(まえ)に しんさを うけます。
これが 本当(ほんとう)の じゅんばんです。

短期滞在は、かんたんに 日本に 来られます
それを あとから 自由(じゆう)に かえられると、
短期滞在が 「ぬけ道(みち)」に なって しまいます。
前に しんさを する いみが なくなります。

ですから、いまは 日本に いても、
ながく くらしたい 人は、
一度(いちど)くにに かえって、もう 一度 入(はい)る
これが きほんです。

でも、かえられる ときが あります

4つ あります。

  • 日本人の 家族(かぞく)が いる とき … 日本人の つま・おっと、日本人・特別永住者(とくべつ えいじゅうしゃ)・永住者の 子(こ)ども など
  • 「認定証明書(にんてい しょうめいしょ)」が 出(で)た とき … 日本に いる あいだに もらえたら、それを 出します
  • 「認定証明書」が とれない とき … 「定住者(ていじゅうしゃ)」や「特定活動(とくてい かつどう)」の 中(なか)には、
    さいしょから 認定証明書を もらえない ものが あります。
    その ときは、短期滞在から かえる しか ありません
  • たいへんな 事情(じじょう)が ある とき … 病気(びょうき)に なった とき、難民(なんみん)の 手続(てつづ)きを して いる とき など

1ばん目(め)は、いつ 家族に なったかは きかれません。
日本に 来る 前から そうだった 人も、だいじょうぶです。

はたらく ビザは、きほん だめです。
でも、日本に いる あいだに 認定証明書が 出たら、かえられます。

日本に 来て から 知(し)りあった ときは、むずかしいです

短期滞在で 日本に 来て、そこで あいて と 知りあって、
すぐ けっこんして、ビザを かえる。

この ときは、「ほんとうの 関係(かんけい)ですか」と うたがわれます。
だめに なる ことが あります。

パスポートの はんこを 見て ください

短期滞在は 90日30日15日です。
パスポートの はんこに 書(か)いて あります。

まどぐちに 出(だ)しても、その日に けっかは 出ません。

はんこの 数字(すうじ)しんさが おわる 前に 日が きたら
90日まてます。けっかが 出るまで 日本に いられます
30日・15日まてません。その日で ビザが なくなります

まどぐちに 行(い)って ください

短期滞在の 人は、インターネットで 申請(しんせい)できません
入管の まどぐちに 行きます。

こんで いる ときは、何時間(なんじかん)も かかります。
その 時間も かんがえて ください。

いまは 在留カードが ありません

短期滞在の 人は、在留カードが ありません
住民票(じゅうみんひょう)も ありません。

だから、銀行(ぎんこう)や 携帯電話(けいたい でんわ)の 手続(てつづ)きが できません。
見(み)せられる ものは パスポートだけです。

ビザが かわって、在留カードを もらって から
生活(せいかつ)の 手続きが はじまります。

いちばん 大切(たいせつ)な こと

短期滞在から ビザを かえるのは、むずかしいです。
それが きほんです。

でも、みちが あります。
くにの きまりを まもる ことも、
家族が いっしょに くらす ことも、
どちらも 大切だからです。

のこりの 日(ひ)は みじかいです。
はやく そうだんして ください。

投稿者プロフィール

山脇 俊明
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