配偶者ビザの『質問書』の書き方

配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請で、多くの方が手を止めるのが質問書です。入管の様式で全8ページ、設問は12。二人の出会いから、家賃、親族の名前と電話番号まで聞かれます。

「どこまで詳しく書けばいいのか」「正直に書いて不利にならないか」——ご相談でいちばん多い質問です。この記事では、入管の様式に沿って、つまずきやすい欄と、別紙で書く理由書の組み立て方を整理します。

【まずイメージから】

質問書は作文のテストではありません
あなたたち二人のことを何も知らない審査官に、事実だけで納得してもらうための書類です。

だから、上手に書く必要はありません。
ただし、書き方ひとつで結婚そのものを疑われる欄が、いくつかあります。

目次

第1 質問書とは何か

1 いつ必要になるのか

入管の様式は「質問書(認定・変更用)」という名前です。名前のとおり、次の2つの場面で必要になります。

  • 海外から呼び寄せるとき(在留資格認定証明書交付申請)
  • すでに日本にいる方が配偶者ビザに変えるとき(在留資格変更許可申請)

いったん配偶者ビザを取ったあとの更新のときは、原則として求められません。質問書は「この結婚は本当か」を確かめるための書類なので、最初の1回がいちばん重い、ということです。在留資格そのものの仕組みについては、在留資格とは何か?で整理しています。

2 署名するのは、日本人配偶者です

見落とされがちですが、質問書の最後にあるのは「署名(配偶者)」の欄です。外国人本人ではなく、日本人の側が署名します

そして、その署名のすぐ上と、1ページ目の冒頭に、同じ警告が2回書かれています。

事実に反する記入をしたことが判明した場合には申請人に係る審査上不利益な扱いを受ける場合や罪に問われる場合がありますので、提出前に、記載内容に間違いがないことを確認し、ご自身で署名してください。

——質問書(認定・変更用)冒頭および末尾

これがこの記事の前提です。不許可にならない書き方とは、うまく飾る書き方ではなく、事実を、漏れなく、誤解のないように書く書き方です。以下、そのための注意点を挙げていきます。

3 質問書と理由書の役割分担

質問書の設問2には「行数が足りないときは、適宜の用紙を使用し記載していただいて結構です」と書かれています。つまり別紙が想定されています。実務では、この別紙を「理由書」と呼び、出会いから結婚までの経緯をまとめて書きます。

役割書き方
質問書事実の申告聞かれたことに、事実で答える。飾らない
理由書(別紙)経緯の説明時系列で、日付を示しながら具体的に

第2 つまずきやすい6つの欄

1 設問3 言語——「筆談/あいさつ程度」に丸をつけるとき

設問3は、夫婦の会話で使う言語を尋ねています。お互いが相手の母国語をどの程度理解できるか、次の4段階から選ぶ形式です。

  • 難しい=通訳が必要
  • 筆談/あいさつ程度
  • 日常会話程度は可能
  • 会話に支障なし

ここで双方が「筆談/あいさつ程度」になると、正面から問題になります。審査官の立場に立てば当然で、意思疎通ができないのに、どうやって結婚を決めたのか、という話になるからです。

ただし、この欄は共通の言語があれば埋まります。日本人が英語を話し、相手も英語を話すなら、設問3(1)に「英語」と書けば足ります。母国語どうしが通じなくても、共通言語で会話が成立していれば問題ありません。

本当に厳しいのは、共通の言語がどちらにもないケースです。この場合、書き方の工夫では乗り切れません。どちらかが相手の言語を学び、客観的な資料(語学試験の結果、日本語学校の受講証明・成績証明など)を用意する——時間をかけて、状況そのものを変えることになります。

なお設問3には、通じない場合に誰が通訳をしているのか(氏名・国籍・住所)を書く欄まであります。ここまで聞かれている、という事実が、この欄の重さを表しています。

2 設問2(2) 紹介者——結婚相談所を経由したとき

紹介者がいる場合は、氏名・国籍・生年月日・住所・電話番号に加えて、紹介された年月日・場所・方法(写真/電話/対面/E-mail/その他)まで書きます。様式には、こう注記されています。

「紹介者との関係は、単に友人・知人と記載するのではなく、どのような関係か詳しく記載してください」。

気をつけたいのは、結婚相談所や国際結婚の仲介会社を経由した場合です(このときは氏名欄に会社名を書きます)。仲介会社は、成婚料をいただくことが事業目的ですから、構造上、お見合いから結婚までが短くなりがちです。1〜2回会って結婚を決めた、という経緯は、入管から見れば「在留資格の取得が目的ではないか」と映ります。

これは、隠してどうにかなる話ではありません。紹介の事実は正直に書いたうえで、交際の実体を別のところで積む——親族に会う、結婚式を挙げる、写真を残す——という対応になります。

3 設問7・8 会った回数——「多数の場合は直近」

設問7は相手の方の来日回数と時期、来日目的。設問8は日本人が相手の母国に行った回数で、しかも「知り合ってから結婚まで」と「結婚後」に分けて書かせます。

どちらの欄にも、記入枠は5つしかなく、こう注記されています。「多数の場合は直近の渡航歴を記載願います」。

【ポイント】無理に全部数えないでください

何十回も行き来している方が、記憶をたどって全部書こうとすると、日付がずれます。外国人の方の出入国の記録は、入管がすでに持っています。書いた内容と食い違えば、そちらのほうが問題です。

回数だけ正確に書き、時期は直近5回を書く。様式が求めているのは、そういう書き方です。

逆に、会った回数が1〜2回しかない場合。よく「2回では無理ですか」と聞かれますが、回数だけで決まるものではありません。1回の中身が重要です。2週間滞在して毎日会っていた1回と、1泊2日で帰った1回とでは、意味がまったく違います。

そのうえで回数が少ないなら、もう一度会う、親族に会う、結婚式を挙げる——申請の時期を後ろにずらしてでも、実体を積んでから出したほうが結果につながります。

4 設問11・12 親族——「結婚を知っている人」に丸がつかないとき

設問11では、双方の父・母・兄弟姉妹・子について、氏名・年齢・住所・電話番号を書きます。日本に住んでいる方の電話番号は、可能な限り記入するよう求められています。

そして設問12は、たった1行ですが、質問書のなかでも特に重い欄です。

親族で今回のご結婚を知っている方はどなたですか」——夫側と妻側それぞれ、父・母・兄・弟・姉・妹・子を○で囲みます。

ここにひとつも丸がつかないとき、審査官は必ず引っかかります。子どもの結婚を親が知らないというのは、一般的な結婚では起こりにくいことだからです。そして、偽装結婚では実際によく起こることでもあります。

ご事情はさまざまです。反対されている、いずれ話すつもりだが今は言いたくない——そういうご相談は珍しくありません。この場合、嘘を書くことはできません。知らないのであれば、知らないと書くほかない。そのうえで、ほかの部分で結婚の実体を厚くするという組み立てになります。

5 設問6・9・10 結婚歴と、過去のこと

設問6は結婚歴です。初婚か再婚か、再婚なら何回目か、前の結婚はいつからいつまでで、離婚か死別か。

離婚歴そのものが不許可の理由になるわけではありません。ただ、回数が多いと「また離婚するのではないか」という見方をされますし、実務では前の結婚の相手の国籍も見られます。国際結婚を何度も繰り返している場合、その理由が問われるからです。

設問9と10は、退去強制歴(出国命令を含む)です。違反の内容として「不法残留(オーバーステイ)」「不法入国(密入国・偽造パスポート使用など)」という選択肢が並び、当時使っていたパスポートの氏名が今回と同じかまで聞かれます。

ここは隠しても意味がありません。入管の記録に残っているからです。該当する方は、正直に書いたうえで、当時の経緯と現在の状況を別紙で説明することになります。難易度は上がりますが、道がないわけではありません。

6 設問1 同居者・家賃・間取り——生活の実態を見ています

1ページ目の身分事項の欄は、事務的に見えて、実はよく見られています。日本人配偶者について、住所と電話(自宅・携帯)のほか、同居者の有無自己所有か借家か家賃間取り(LDK)、勤務先の会社名・職務内容・所在地・電話・就職年月日まで書きます。

家賃と間取りを聞く理由は2つあります。ひとつは二人で生活できる住まいか。もうひとつは収入と支出のバランスです。配偶者ビザで見られるのは年収の額そのものではなく、その世帯で生活が成り立つかどうかですから、家賃がいくらかは、年収がいくらかと同じくらい重要です。持ち家で家賃がかからない世帯と、家賃が重い世帯とでは、必要な収入が違います。

「この欄、正直に書いて大丈夫でしょうか」

迷う欄があるということは、補うべき点があるということです。何をどう積めばよいかを、状況をうかがったうえでご提案します。初回相談は無料です。

第3 結婚に至った経緯は、別紙に書けます

設問2には「行数が足りないときは、適宜の用紙を使用し記載していただいて結構です」と書かれています。つまり別紙が想定されています。実務では、この別紙を「理由書」と呼びます。

1 時系列で、事実を並べる

様式が求めているのは「年月日を示しながら」書くことです。凝った構成も、うまい表現も要りません。いつ、何があったのか。順を追って並べる——それが基本の形です。

なお、マッチングアプリで知り合った、という書き出しを心配される方が多いのですが、いまは特に不利にはなりません。出会い方より、そこから結婚までの時間の使い方が見られています。

2 長さでは評価されません

不許可になったあとにご相談を受けると、ご本人が作られた理由書を拝見することがあります。そこで目立つのは、書面が薄いケースよりも、とても丁寧なのに、審査官が気にするであろう一点にだけ触れていないというケースです。

気がかりな事情がない案件なら、簡潔な書面で足ります。逆に、気がかりな点があるのなら、そこにこちらから触れているかどうかで、その書面の役目は決まります。何を、どこまで書くべきかは、事案ごとに違います。

3 事実の範囲を超えては書けません

第1章で見た警告文が、ここでも効いてきます。理由書に書けるのは、実際にあったことだけです。

ですから、足りないと感じたときにやるべきことは、文章を足すことではありません。事実のほうを整えるために、申請の時期を少し後ろにずらす——そうした判断のほうが、結果につながります。

第4 書いたことは、裏を取られます

質問書は、提出して終わりではありません。実務では、書面の審査に加えて実態調査が行われることがあります。調べられるのは、たとえば次のようなものです。

  • 配偶者が本当にその会社に勤めているか(在職の事実
  • 配偶者の前の妻・前の夫の住所
  • ガス・電気などの光熱費の契約状況と使用量
  • 携帯電話・固定電話の契約状況

光熱費の使用量まで見られる、という点に注目してください。二人で暮らしていると申告しているのに、一人分の使い方しかない——そうした食い違いは、書類の文言よりも雄弁です。

逆にいえば、事実のとおりに書いてあれば、調査は怖くありません。質問書を正直に書くというのは、道義の問題であると同時に、いちばん確実な戦術でもあります。

第5 写真とメッセージ

設問2には「説明に関連する写真・手紙や国際電話の利用などを証明するものを添付されても結構です」とあります。実務でも、写真とメッセージの履歴は、理由書を裏づける中心的な資料になります。

ただ、量を出せばよいというものではありません。交際の期間、お住まいが離れていたかどうか、気がかりな点がどこにあるか——それによって、出すべきものも、その量も変わります。何をどれだけ添えるかは、案件ごとに決めることです。

会えない期間が長かったご夫婦なら、その期間なりの資料があります。「会えなかった」ことではなく、会えないなりに関係を続けてきたことを示す——そういう発想で選んでいきます。

まとめ

  • 質問書は全8ページ・12問。署名するのは日本人配偶者で、事実に反する記入には不利益と罰則の警告があります
  • 結婚に至った経緯は別紙(理由書)に書けます。長さではなく、気がかりな点に触れているかで決まります
  • 言語の欄は、共通言語があれば埋まります。どちらにもないときは、書き方では乗り切れません
  • 来日回数は無理に全部数えない。回数だけ正確に、時期は直近5回
  • 親族が結婚を知らないときは、そう書くほかない。ほかで実体を厚くします
  • 書いたことは光熱費の使用量まで裏を取られることがあります

質問書を書き進めていて手が止まる欄があるなら、そこがこの申請の弱点です。弱点は、隠すのではなく、先に見つけて、埋めてから出す。それが結局いちばん早い道になります。

当事務所では、許可保障制度を設けています。お引き受けする以上は許可までお持ちする、という考え方です。だからこそ、出す前の見極めを大切にしています。手続きの流れとご費用は、国際結婚・配偶者ビザのページをご覧ください。

あわせて読みたい

※ 本記事は、出入国在留管理庁の「質問書(認定・変更用)」および公表されている実務の取扱いをもとに、一般的な情報としてまとめたものです。様式や取扱いは改訂されることがあり、審査は個々の事案における諸般の事情を総合的に考慮して行われます。実際のお手続きの際は、申請先の入管または当事務所へご確認ください。


やさしい にほんご

これは やさしい 日本語(にほんご) の ページです。
上(うえ)の 文章(ぶんしょう)と 同(おな)じ 内容(ないよう)を、かんたんな 言葉(ことば)で 書(か)いて います。

日本人(にほんじん)と 結婚(けっこん)した 人(ひと)の ビザを 申請(しんせい)する とき、「質問書(しつもんしょ)」を 出(だ)します。
8ページ、質問(しつもん)は 12こ あります。

質問書は テストでは ありません

じょうずに 書(か)く 必要(ひつよう)は ありません。
本当(ほんとう)の ことを、ぜんぶ 書く。それだけです。

質問書には、こう 書いて あります。
「うその ことを 書いたら、審査(しんさ)で 不利(ふり)に なります。罪(つみ)に なる ことも あります」

最後(さいご)に サインを するのは、日本人の 夫(おっと)か 妻(つま)です。外国人(がいこくじん)では ありません。

いつ 出しますか

  • 外国(がいこく)から 呼(よ)ぶ とき
  • 日本に いる 人が、ビザを 変(か)える とき

ビザを 更新(こうしん)する ときは、だいたい いりません。

むずかしい 質問(しつもん)は これです

1 ことば(質問3)
2人(ふたり)は 何(なに)の 言葉で 話(はな)しますか。
どちらも「あいさつだけ」だと、入管(にゅうかん)は 心配(しんぱい)します。
「どうやって 結婚を 決(き)めましたか」と なるからです。

でも、2人が 話せる 言葉(たとえば 英語/えいご)が あるなら、だいじょうぶです。

2 紹介(しょうかい)した 人(質問2)
結婚相談所(けっこん そうだんじょ)で 会(あ)った 人は、会社(かいしゃ)の 名前(なまえ)を 書きます。
会って すぐ 結婚すると、入管は「ビザが 目的(もくてき)ですか」と 考(かんが)えます。

3 会った 回数(かいすう)(質問7・8)
たくさん 会って いる 人は、ぜんぶ 数(かぞ)えなくて いいです。
回数だけ 正(ただ)しく 書いて、時期(じき)は 新(あたら)しい 5回を 書きます。
入管は あなたの 出入国(しゅつにゅうこく)の 記録(きろく)を 持(も)って います。まちがえる ほうが あぶないです。

4 家族(かぞく)(質問11・12)
お父(とう)さん、お母(かあ)さん、兄弟(きょうだい)の 名前・住所(じゅうしょ)・電話(でんわ)を 書きます。
そして「この 結婚を 知(し)って いる 家族は だれですか」と 聞(き)かれます。

だれも 知らない とき、入管は 心配します。
でも うそは 書けません。知らないなら、知らないと 書きます。
そして ほかの ところで、本当の 結婚だと 見(み)せます

5 家(いえ)の こと(質問1)
家賃(やちん)部屋(へや)の 広(ひろ)さも 書きます。
お金(かね)が 多(おお)いか 少(すく)ないかだけでは ありません。
家賃が 高いか 安(やす)いかも、同(おな)じくらい 大切(たいせつ)です。

2人の 話(はなし)を 書く 紙(かみ)

「どうやって 出会(であ)って、結婚しましたか」は、べつの 紙に 書いても いいです。

いつ、何(なに)が あったかを、じゅんばんに 書きます。
じょうずな 文(ぶん)は いりません。

アプリで 出会っても、いまは 問題(もんだい)ありません。
長(なが)く 書かなくても いいです。心配(しんぱい)な ところに、自分(じぶん)から 書くことが 大切(たいせつ)です。
そして、本当(ほんとう)の ことだけを 書きます。

写真(しゃしん)と メッセージ

写真メッセージも いっしょに 出(だ)します。
2人(ふたり)の 話(はなし)が 本当(ほんとう)だと 見(み)せる ためです。

でも、たくさん 出せば いいわけでは ありません。
どんな 写真を、どのくらい 出すかは、人(ひと)に よって ちがいます

遠(とお)くに 住(す)んで いて、あまり 会(あ)えなかった 人も、心配(しんぱい)しないで ください。
「会えなかった」ではなく、「会えなくても つづけて きた」ことを 見せます。

入管は、書いた ことを 調(しら)べます

会社(かいしゃ)で 本当に 働(はたら)いて いるか。
電気(でんき)や ガスを どのくらい 使(つか)って いるか
電話の 契約(けいやく)は どうか。

「2人で 住(す)んで います」と 書いたのに、電気が 1人分(ぶん)だけ。
これは すぐ わかります。

だから、本当の ことを 書くのが、いちばん 安全(あんぜん)です。

書けない ところ、こまった ところが あったら、電話(でんわ)して ください。
045-900-4871
やさしい 日本語で 話します。

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山脇 俊明
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