「30日と言われました。この間、何をすればいいのでしょうか」——出国準備の在留資格に変わった方から、よくいただくご相談です。
総論
在留期間の更新や在留資格の変更が許可されず、窓口で「申請内容変更申出書」を出すと、在留資格が出国準備のための「特定活動」に変わります。その日にすることや、出し直す2つの道は、ビザ申請が不許可になったらどうする?にまとめました。ここから先は、その次の話です。
30日と言われました。仕事はどうなるのか。保険証は使えるのか。家賃も携帯電話の料金も、これまでどおり引き落とされます。何から手をつければよいのでしょうか。
できることは、はっきり減ります。ただ、この30日は帰るためだけの30日とは限りません。もう一度申請して、審査を待つ状態に戻れることがあります。
【この30日にできること、できないこと】
第1 働けない
指定された活動から、報酬を受ける活動が外されています
第2 身分を証明するものが、パスポートと指定書だけになる
在留カードが交付されず、住民票からも外れます
第3 病院と銀行は、先に手を打つ
健康保険は市区町村の窓口へ。銀行にはこちらから届け出ます
第4 国を出ると、戻れない
みなし再入国が使えません
第5 もう一度申請すれば、審査を待つ状態に戻れる
ただし、31日以上をもらっている場合に限ります
第1 働けない
出国準備の「特定活動」で指定される活動は、「本邦から出国するための準備のための活動及び日常的な活動」です。そこから「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」が除かれています。
では、この30日の生活費はどうするのでしょうか。会社はもう辞めています。再申請にも費用がかかります。数日だけでも働けないものか。
働けません。会社都合で職を失った方のために働ける「特定活動」が用意されていますが、出国準備からは、そこへ移れません。道があったのは、出国準備になる前です。
1 指定された活動に、報酬を受ける活動が入っていない
「特定活動」は、その人が何をしてよいかが一人ひとり指定される在留資格です。指定の中身は、パスポートに貼られた指定書という紙に書かれています。
そこに書かれているのが、出国の準備と日常的な活動です。報酬を受ける活動は、はじめから外されています。アルバイトも含みます。
2 働ける道があったのは、出国準備になる前
入管庁は、勤め先の倒産や解雇など自分の責任ではない事情で働けなくなった方のために、働ける「特定活動」を用意しています(出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(「特定活動」(就労継続支援))」)。特定技能1号への移行を目指す方が、試験に合格するまでの間、移行後の勤め先で働けるようにするものです。在留期間は1年で、一定の場合に限り2回まで更新できます。
ところが、出国準備からは、ここへ移れません。対象となる「特定活動」は報酬を受ける活動を行うことができる者に限るとされているうえ、中長期在留者であることも求められているからです。出国準備は、そのどちらにも当たりません。
倒産や解雇で職を失ったのであれば、出国準備になる前に相談してください。職を失ってから3か月というのが、ひとつの目安になります。
3 「少しだけ」の代償
許可を受けずに報酬を受ける活動をすると、1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です(入管法73条1号)。それを主にしていたと明らかに認められる場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となり(入管法70条1項4号)、退去強制の対象にもなります(入管法24条4号イ)。雇った側も、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です(入管法73条の2第1項1号)。
第2 身分を証明するものが、パスポートと指定書だけになる
在留カードが交付されるのは中長期在留者です。3か月以下の在留期間を決定された人は、ここから外れます(入管法19条の3第1号)。出国準備は長くても3か月ですから、在留カードは交付されません。
では、何を見せればよいのでしょうか。役所でも銀行でも携帯電話の店でも、これまでは在留カードを出してきました。
パスポートと、そこに貼られた指定書です。この2つが、30日の間の身分証になります。
1 住民票からも外れる
住民基本台帳に記録される外国人住民は、中長期在留者、特別永住者、一時庇護許可者・仮滞在許可者などに限られています(住民基本台帳法30条の45、総務省「外国人住民に係る住民基本台帳制度」)。中長期在留者でなくなれば、ここからも外れます。
住民票の写しが取れなくなります。住所を証明する書類を求められる手続きは、そこで止まります。
2 マイナンバーカードも使えなくなる
外国人住民のマイナンバーカードの有効期間は、在留期間の満了の日までとされています(永住者、特別永住者、高度専門職2号の方を除きます)。前の在留期間が終わった時点で、カードの有効期間も終わっています。
そのうえ住民票からも外れますから、この期間に作り直すこともできません。
第3 病院と銀行は、先に手を打つ
健康保険と銀行口座は、在留資格に連動して動きます。在留資格が変わった以上、どちらも扱いが変わる可能性があります。
この30日に体調を崩したら、窓口でいくら払うことになるのでしょうか。口座からお金は下ろせるのでしょうか。
どちらも、変わったらすぐに、確かめておいてください。
1 健康保険は、市区町村の窓口で確かめる
国民健康保険の被保険者は、その都道府県の区域内に住所を有する人です(国民健康保険法5条)。そして、住民基本台帳法にいう外国人住民でない人は、原則として被保険者としない、とされています(国民健康保険法6条11号、同法施行規則1条1号)。
ここは、住んでいる市区町村に直接聞いてください
保険証が使えるかどうかで、病院の窓口で払う額が3割か、全額かが変わります。
在留資格が変わった日に、市区町村の国民健康保険の窓口へ行き、
パスポートに貼られた指定書を見せて、資格がどうなるかを確かめてください。
2 銀行には在留資格が変わったらこちらから届け出る
金融庁は、外国人の方の在留資格や在留期間が変わったときは金融機関での手続きが必要だと案内しています(金融庁「外国人の方の預貯金口座・送金利用について」)。
審査を待っている間なら、銀行から聞かれたときに回答してください。金融庁が金融機関に対して、在留期間の満了前に更新手続の有無を確認するよう求めているからです(金融庁「外国人顧客対応にかかる留意事項」)。
在留資格が変わった場合は異なります。何も伝えないまま期限だけが過ぎていくと、口座が使えなくなることがあります。
第4 国を出ると戻れない
出国のときに意思を伝えるだけで再入国できるみなし再入国許可について、入管庁はこう説明しています。
みなし再入国許可とは、我が国に在留資格をもって在留する外国人で有効な旅券を所持している方のうち、「3月」以下の在留期間を決定された方及び「短期滞在」の在留資格をもって在留する方以外の方が、出国の日から1年以内に再入国する場合には、原則として通常の再入国許可の取得を不要とするものです。
では、一度国に帰って荷物を整理し、また戻ってくる——それはできないのでしょうか。審査を待っている間は、それができていました。
できません。出国準備の在留期間は3か月以下ですから、この「以外の方」に当たりません(入管法26条の2第1項)。
1 出れば、そこで在留は終わる
審査を待っている間は、みなし再入国許可で出国し、また戻ってくることができました。前の在留資格が続いていたからです。
出国準備では、その前提がなくなっています。日本を出れば、そこで在留は終わります。すぐもどるつもりでも出国しないでください。
2 出るか残るかは、出る前に決める
日本にいたまま出し直すのか、出国してから呼び寄せてもらうのか。この判断は、出国の前に済ませておくことになります。
断られた理由が資料の不足なのか、これまでの在留のしかたなのかで、答えが変わります。理由の聞き取りが済んでいない方は、そこからです。
第5 もう一度申請すれば、審査を待つ状態に戻れる
在留期間内に変更を申請すると、審査中に在留期間が過ぎても、結果が出るまで、または満了の日から2か月が過ぎるまでは、そのまま日本にいられます。これを特例期間といいます(入管法20条6項)。
では、出国準備の期間に再申請すれば、また審査を待つ状態に戻れるのでしょうか。30日の中で結果が出るとは思えません。
戻れる場合と、戻れない場合があります。分かれ目は、パスポートに押された日数です。
1 31日以上なら戻れる。30日以下なら戻れない
特例期間を定めた条文には、括弧書きがついています。「30日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く」。
| もらった日数 | その期間内に再申請すると |
|---|---|
| 31日以上 | 特例期間に入ります。結果が出るまで日本にいられます |
| 30日以下 | 特例期間に入りません。審査の途中で在留期間が切れます |
30日以下でも、再申請そのものはできます。実務では判断の際に短期滞在で在留をつなぐ扱いがとられることもありますが、条文の上での保障はありません。
入管が31日以上を与えるのは、もう一度出せば通る見込みがあると見たときです。日数は、入管の見立てを表しています。
2 出し直す中身は、もとの在留資格で変わる
戻れるとしても、同じ書類をもう一度出すだけでは結果は変わりません。断られた理由を埋める必要があります。
仕事の中身や会社の資料が問われたのであれば就労ビザの要件を、結婚の実体や生計が問われたのであれば国際結婚・配偶者ビザの要件を、あらためて組み直すことになります。
残り時間は30日です。集める書類の当てがついていない方は、早いうちにご相談ください。
まとめ
- 働けません。アルバイトもできません。「少しだけ」が、次の申請に響きます
- 在留カードは交付されず、住民票からも外れます。身分証はパスポートと指定書だけです
- マイナンバーカードも使えません。作り直すこともできません
- 健康保険は、変わった日に市区町村の窓口で確かめます。3割か全額かが変わります
- 銀行には、こちらから届け出ます。審査を待っていたときとは違います
- 国を出たら戻れません。みなし再入国が使えないからです
- 31日以上をもらっているなら、再申請で審査を待つ状態に戻れます。30日以下なら戻れません
出国準備という名前がついていますが、この期間にすることは人によって違います。帰る準備をする方もいれば、次の許可を取りに行く方もいます。
まず、パスポートを開いてください。指定書に書かれた日数が、どちらの30日かを決めています。
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審査を待っている間に住所が変わったときの届出。
※ 本記事は、出入国管理及び難民認定法、住民基本台帳法、国民健康保険法の条文と、出入国在留管理庁・金融庁・総務省が公表している資料をもとに、一般的な情報としてまとめたものです。国民健康保険の資格の扱いは市区町村の判断によりますので、必ずお住まいの市区町村へご確認ください。個々の事案については、申請先の入管または当事務所へご相談ください。
やさしい にほんご
これは やさしい 日本語(にほんご) の ページです。
上(うえ)の 文章(ぶんしょう)と 同(おな)じ 内容(ないよう)を、かんたんな 言葉(ことば)で 書(か)いて います。
この ページは、ビザが 「出国準備(しゅっこく じゅんび)」に なった 人の 話(はなし)です。
30日(にち)と 言(い)われた 人が、なにを するかを 説明(せつめい)します。
この 30日は、かえる ためだけの 30日では ありません
もう 一度(いちど)申請(しんせい)して、
けっかを まつ じょうたいに もどれる ことが あります。
できるか どうかは、パスポートの 数字(すうじ)で きまって います。
あとで 説明します。
はたらけません
パスポートに 指定書(していしょ)と いう 紙(かみ)が あります。
そこに「して いい こと」が 書(か)いて あります。
お金(かね)を もらう しごとは、入って いません。
アルバイトも できません。
会社(かいしゃ)が つぶれた 人や、やめさせられた 人が
はたらける べつの ビザが あります。
でも、出国準備に なって からでは、それに かわれません。
会社が つぶれた、やめさせられた——
そういう ときは、出国準備に なる 前(まえ)に そうだんして ください。
「すこしだけ」でも はたらいては いけません
1年(ねん)いかの こうきんけい、または 200万円(まんえん)いかの ばっきん。
国(くに)に かえされる ことも あります。
あなたを やとった 人も、おなじように ばっせられます。
そして、つぎの 申請に ひびきます。
2日、3日の お金の ために、つぎの ビザを なくします。
みぶんを しょうめいする ものが、へります
在留カードが もらえません。
住民票(じゅうみんひょう)も なくなります。
マイナンバーカードも つかえません。
のこるのは パスポートと 指定書だけです。
やくしょでも 銀行(ぎんこう)でも、見せるのは これです。
なくさないで ください。
びょういんと 銀行は、はやく
保険証(ほけんしょう)が つかえるか どうかで、
びょういんで はらう お金が 3わりか ぜんぶか かわります。
ビザが かわった 日に、市(し)や 区(く)の やくしょへ 行(い)って ください。
国民健康保険(こくみん けんこう ほけん)の まどぐちです。
指定書を 見せて、「保険は どう なりますか」と 聞(き)いて ください。
銀行にも、じぶんから 言(い)って ください。
ビザが かわったからです。
なにも 言わないと、お金が おろせなく なる ことが あります。
くにに かえると、もどれません
まえは、くうこうで「また 来ます」と 言えば もどれました。
いまは できません。
日本を 出(で)たら、そこで おわりです。
「にもつを とりに かえる」は できません。
パスポートの 数字を 見て ください
もう 一度 申請すると、また けっかを まつ じょうたいに なれる ことが あります。
でも、ぜんいん では ありません。
| もらった 数字 | もう 一度 申請すると |
|---|---|
| 31日や もっと ながい | けっかが 出るまで 日本に いられます |
| 30日や それより みじかい | とちゅうで ビザが きれます |
31日を もらった 人は、入管が
「もう 一度 出せば OKに なる かも しれない」と 見て います。
いちばん 大切(たいせつ)な こと
まず パスポートを ひらいて ください。
指定書の 数字を 見て ください。
それで、この 30日に する ことが きまります。
時間(じかん)が みじかいです。はやく そうだんして ください。
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