留学生に内定を出したら、会社は何をする?

「内定を出した留学生の手続きは、いつから動けばいいですか」——秋になると、よくいただくご相談です。

【ざっくりいうと】

4月に入社してもらうなら、申請は12月1日から1月末までの間に出します。入管が公表している期間です。
会社が用意する書類は、会社の規模で決まっています。

目次

総論

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、日本で働く外国人は令和7年10月末時点で約257万人です。前の年より1割以上増え、届出が義務づけられた平成19年以降で最も多くなりました(厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」)。留学生から日本の企業等への就職を目的とした在留資格の変更も、令和6年に約4万人が許可されています。10年あまりで3倍を超えました(出入国在留管理庁「留学生の日本企業等への就職状況について」)。

採用の担当の方は、入管の混雑も含めて、在留資格手続きがスムーズに行くか、ご心配かもしれません。

12月から始まる申請期間の中で、必要書類をそろえて出す。まずはここを目指しましょう。書類の中身は会社の規模で決まっていて、秋のうちに用意できます。そして、卒業できなかったといったトラブルにも、対応できる場合があります。

【内定から入社までの道すじ】

第1 申請は12月1日から1月末。会社の準備は11月に終える
11月までに書類をそろえる → 12月1日から1月末に申請 → 卒業証明書を持って在留カードを受け取る → 4月入社

第2 会社が出す書類は、カテゴリーで決まる
前の年の法定調書合計表を見る → カテゴリー1・2なら原則として資料は要らない/カテゴリー3・4なら決算文書などが要る
 2026年4月15日から、3・4は2点増えた/2025年12月1日から、日本の大学を出る人なら減らせる

第3 予定どおりにいかないとき
卒業できない → 入社を1年ずらす/入社が4月でない → 内定者の「特定活動」で待つ/内定取消し → 入管に連絡する

第1 申請は12月1日から1月末。会社の準備は11月に終える

入管庁は、4月からの就労を希望する場合には12月1日から1月末までの間に申請するよう求めています。1月から3月に申請が集中するため、書類がそろっていなかったり申請が遅れたりすると、希望の日までに審査が終わらないことがあるからです。

では、まだ卒業していない12月に、申請できるのでしょうか。学生の手元に卒業証明書はありません。卒業見込みの段階で出して、入管は受け付けてくれるのか。

申請できます。卒業証明書は、許可のあと、在留カードを受け取るときに持っていきます。

1 入管が示す申請期間は、12月1日から1月末

入管庁は、留学から就労資格への変更を予定している人に向けて、次のように呼びかけています。

例年、1月から3月にかけて、4月に就労を開始することを目的とした在留諸申請が多く提出されることから、提出書類がそろっていない場合や申請時期が遅れた場合、希望日までに審査が終了しない可能性があります。つきましては、4月からの就労を希望する場合には、12月1日から1月末までの間に申請をしていただくようお願いします。

出入国在留管理庁「在留資格「留学」から就労資格への変更申請を予定されている皆様へ」

会社の側から見ると、10月、11月のうちに書類をそろえておくということになります。

2 在留期限が1月31日以前なら、先に「留学」の更新をする

同じページに、ただし書きがあります。「留学」の在留期限が1月31日以前で、その日以降も「留学」の活動を続ける場合は、変更の申請ではなく「留学」の在留期間更新を申請してください、というものです。

3月に卒業する学生でも、在留期限が1月や2月に来る人がいます。内定者の在留カードは、早いうちに見ておくことになります。

3 卒業前に申請でき、在留カードは卒業証明書と引き換えに受け取る

窓口で申請した場合、審査が終わると入管からはがきが届きます。このはがきは、「留学」の活動が終わる前に届くことがあります。入管庁は、卒業証明書を受け取ったあとに必要書類を持参して在留カードを受け取るよう案内しています。

はがきが来たからといって、すぐに新しい在留カードが手に入るわけではありません。卒業式から入社までの短い期間に、学生は入管へ行くことになります。

なお、審査の進み具合を電話で問い合わせても、入管は回答しません。

第2 会社が出す書類は、カテゴリーで決まる

入管は、外国人を受け入れる会社を4つのカテゴリーに分け、カテゴリーごとに提出書類を定めています(出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」)。技術・人文知識・国際業務——実務では技人国(ぎじんこく)と呼ばれる在留資格です。カテゴリー1と2は、申請書と写真のほかは原則として資料が要りません。

では、自社はどれに当たるのでしょうか。上場はしていません。社員の数で決まるのか、決算の中身で決まるのか。

前の年の法定調書合計表を見れば決まります。経理か顧問税理士に1枚出してもらえば、その日のうちにわかります。

1 カテゴリーは、源泉徴収税額で決まる

入管が公表している区分は、次のとおりです(一部です)。

カテゴリー当てはまる会社
1上場企業、保険業を営む相互会社、国や地方公共団体、独立行政法人、公益法人など
2前年分の法定調書合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人。ほかに、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関
3前年分の法定調書合計表を提出した団体・個人(2に当たるものを除く)
4いずれにも当てはまらない団体・個人(新しく設立して、まだ決算を迎えていない会社など)

カテゴリー3になると、労働条件を明示した文書、登記事項証明書、決算文書の写し、事業内容を明らかにする資料などが要ります。カテゴリー4では、これに事業計画書などが加わります。

2 2026年4月15日から、カテゴリー3・4は2つ増えた

入管庁は、令和8年4月15日以降の申請から、カテゴリー3または4に当たる場合に2点を追加で提出するよう求めています。

  • 所属機関の代表者に関する申告書(参考様式が公表されています)
  • 主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合は、その言語についてCEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料

出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」

2つ目が要るのは、翻訳・通訳やホテルのフロント業務などの接客のように、言語の力を使う仕事に主に就く場合です。入管庁は、次のいずれかに当たればB2相当とみなすとしています。

  • 日本語能力試験N2以上
  • BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
  • 中長期在留者として20年以上日本にいること
  • 日本の大学を卒業、または高等専門学校・専修学校の専門課程・専攻科を修了していること
  • 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること

日本の大学を出た留学生なら、4つ目に当たります。追加の試験は要りません。

3 2025年12月1日から、日本の大学を出る人なら省略できる

増えるばかりではありません。入管庁は、令和7年12月1日から、「留学」から技人国または「研究」への変更について、次のいずれかに当たれば提出書類を省略できるとしています。省略できる書類はカテゴリー2と同じ扱いです。

  • 日本の大学の卒業(予定)者(大学院・短期大学を含む)
  • 海外の優秀大学の卒業者(3つの世界大学ランキングのうち2つ以上で上位300位に入る大学)
  • 「留学」から就労資格への変更許可を受けた人を現に受け入れている機関で就労する場合

1つ目に当たれば、会社の規模を問いません。カテゴリー4の設立まもない会社でも、日本の大学を出る学生を採るなら、決算文書や事業計画書が要らなくなります。

省略には、条件が2つあります

派遣の形で雇う場合は、対象外です。
そして、入管庁が公表している説明書を作成し、申請書に添えて出します。入管庁は「事実と異なる説明を行い書類の省略を行った場合には、虚偽の申請と判断される可能性があります」と注意を促しています。

第3 予定どおりにいかないとき

技人国への変更が許可されるのは、大学を卒業しているか、日本の専修学校の専門課程を修了しているときです。学歴は、この在留資格の土台にあたります。

では、卒業できなかったら、どうなるのでしょうか。内定を出し、配属先も決め、席も用意してある。留年が決まったのは2月で、入社まで1か月しかない。

その年の4月に入社してもらうことはできません。ただ、内定をあきらめるしかないわけでもありません。

1 卒業できなければ、許可は出ない

卒業を前提に出した申請は、卒業できないことが決まった時点で、そのままでは許可されません。学生は「留学」の在留資格で在学を続けることになります。

会社としては、内定を残して入社日を1年後にずらすか、内定を取り消すかの判断になります。ずらす場合、翌年また12月に申請します。

2 卒業から入社までは、アルバイトもできない

留学生が週28時間まで働けるのは、資格外活動の許可を受けているからです。この許可は、その教育機関に在籍している間に限られます(入管法施行規則19条)。

3月に卒業した時点で、許可の効力はなくなります。新しい在留カードを受け取るまでの数週間、内定者は働けません。

入社前の研修やアルバイトは、不法就労になります

卒業してから入社日までの間に、内定先で少し手伝ってもらう。
よくある話ですが、報酬を払えば不法就労です。会社も問われます。
入社日の前に働いてもらう予定があるなら、先に確かめてください。

3 入社が4月でないなら、内定者の「特定活動」で待てる

入社が4月とは限りません。入管庁は、卒業したあと採用までの間、内定者が「特定活動」の在留資格で日本にいられる取扱いを設けています(出入国在留管理庁の案内ページ)。

条件は、内定後1年以内で、かつ卒業後1年6月以内に採用されることです。会社は誓約書を出します。書かれているのは2つです。

  • 内定者の在留状況に問題がないことを定期的に確認し、連絡をとること
  • 内定を取り消した場合は、遅滞なく地方出入国在留管理局に連絡すること

この在留資格でも、週28時間までの資格外活動の許可を受けられます。入社前の研修として企業で受け入れる場合は、28時間を超える許可を受けられることもあります。

卒業までに内定が出ていない学生については、卒業後に就職活動を続けるための「特定活動」があります。大学等の推薦状が要り、最長1年です。

4 内定を取り消したら、入管に連絡する

内定者の「特定活動」で待ってもらっている場合、内定の取消しは入管への連絡につながります。誓約したとおりです。

入社したあとも、届出は続きます。会社の名前や所在地が変わったとき、契約が終わったときは、本人が14日以内に入管へ届け出ます(出入国在留管理庁「所属機関に関する届出」)。会社が出すものではありませんが、新入社員が知らないまま過ぎることの多い手続きです。

まとめ

  • 4月入社なら、申請は12月1日から1月末。会社の書類は11月のうちにそろえます
  • 「留学」の在留期限が1月31日以前の学生は、先に「留学」の更新を申請します
  • 卒業前に申請できます。在留カードは、卒業証明書を持って受け取りに行きます
  • 会社の書類はカテゴリーで決まります。前年の法定調書合計表の源泉徴収税額1,000万円が分かれ目です
  • 2026年4月15日から、カテゴリー3・4は代表者に関する申告書などが追加になりました
  • 2025年12月1日から、日本の大学を出る学生を採るなら、会社の規模を問わず書類を減らせます(派遣は対象外)
  • 卒業から入社までの間、内定者は働けません。資格外活動の許可は在籍中に限られます
  • 入社が4月でないなら、内定後1年以内かつ卒業後1年6月以内を条件に、内定者の「特定活動」で待てます

留学生の採用でつまずくのは、審査そのものより、時期であることが多いところです。2月に書類を集め始めると、4月1日に間に合わないことがあります。

あわせて読みたい

※ 本記事は、出入国管理及び難民認定法の条文と、出入国在留管理庁・厚生労働省が公表している資料をもとに、一般的な情報としてまとめたものです。取扱いや必要書類は改定されることがありますので、申請前に必ずリンク先の最新の内容をご確認ください。個々の事案の判断は、申請先の入管または当事務所へご相談ください。


投稿者プロフィール

山脇 俊明
山脇 俊明

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次